私は、建築士として約20年間、500件以上の空間づくりに携わってきました。
空間づくりには、設計・現場管理・商品企画など多方面の分野が関わり、それらの集大成として空間が仕上がります。
そのため、建築士としてこの業界に携わるだけでなく、建築のあらゆる側面すべてに関わり、空間づくりをしてきました。
だからこそわかる「空間づくりの鍵」と、つくっていく中で随所に散らばる「大切なポイント」を知っています。
私の考えるリノベーションとは、単に空間を変えることではなく、そこに関わる人の人生を豊かにすることです。
ですから、空間づくりの鍵は、「その過程で、いかにその人の人生を豊かにできるか?」という点になります。
そして、スタートの段階でまずやるべきことは「どんな空間をつくるか?」ではなく、「どういう人生にしたいか?」を家族、パートナーと話し合うことで、ご自身やご家族でこれをしっかり考え、決めていただきたいのです。
それには、住む人みんなで「人生の棚卸し」をする必要があります。
お客さまにお伝えしたいのは、「そろそろ…」と思った時点でご相談をしてほしいこと。
家を建てる専門家にお伝えしたいのは、最初に「何部屋必要ですか?」と聞かないで、もっと大切な時間をお客様と共有してほしいということです。
しかし、この「人生の棚卸し」は、意外と難しいもので、ご自身だけ、ご家族だけで話し合っても、本当に言いたいことをなかなか伝えられなかったり、言葉にできなかったり…。
そこで、リノベーションコーディネーターが登場するのです。
まず、「どういう人生にしたいのか」を明確にしていただくために、さまざまな角度からお話をお聞きします。
そして、それを実際につくることができる設計士や工務店などの専門家を選定し、実際の現場でのやりとりを管理します。完成後は、アフタフォローも手がけます。
つまり、「リノベーションコーディネーター」は、お客様の空間リノベーションのプロジェクトリーダーとなり、お客様と専門家をつなぐ通訳と管理の役割を担います。
こうしたリノベーションコーディネーターが、増えれば増えるほど、豊かな人生を手にする人が増えていきます。ですから、そうした人生を豊かにリノベーションできる人も増やしていきたいと思い、この協会を立ち上げました。
多くの方の豊かな人生をつくること。そして、それを実現するためのリノベーションコーディネーターを多数、世に送り出すこと。
これが私の使命です。リノベーションで人生を豊かにする人々をますます生み出していきます。
リノベーションコーディネーター協会
理事長 瀧澤佐江子
私の父は、美術大学に行きたいと思っていたほど、絵を描いたり、ものをつくったりすることが好きでした。
父が休みの日は、父と絵を描いたり、近くの遊歩道で摘んだ花を押し花にしたりなど、父との時間は「ものをつくる」時間が多かったように思います。
実家の建て替えをしたのは、私が小学校4年生の時。父とともに、たくさんの住宅展示場に行ったり、設計士さんとの打ち合わせに同席したりと、ワクワクしながら参加していたのを、今もよく覚えています。
おそらく、この頃に”今の私”がいるのかなと思っています。
ここでは、注文住宅、建売り住宅、規格住宅フランチャイズ、自社商品開発、分譲街づくりなど、大小問わずさまざまな事業に携わり、大きな経験値を得ることができました。
その後、会社はどんどん大きくなり、授業員数100名を超えるほどに成長。従業員が増えていくに従って、いろいろな問題にぶち当たり、その解決に切磋琢磨していました。
でも、このおかげで、従業員数30人の会社、50人の会社、100人の会社が抱える問題とそのクリアーの仕方を身につけられたのは、よかったです。
続いて、新しい会社に移り、店舗看板やイベント企画、デザインなどの新しい仕事に携わりはじめました。
ここで養ったのは、コンサルティング力。有名な某大手企業の看板の打ち合わせに出席していると、店舗全体のことまでも考えるようになりました。
ある時、サービスの一環で疑問に思ったことを口にしたところ、返ってきた回答が腑に落ちず、私なりの視点から図々しくも提案してみたのです。そうしたら、それがとても気に入られ、次世代新店舗開発の設計コンサルの仕事を請け負うことになりました。
新しいことを次々と覚えることが楽しくて仕方がなかったことに加え、「建築士は20代の間にたくさんの経験をすることが大事!」という考えもあったために、ストイックに仕事にのめりこむ日々。学生時代の友人からは「生きているの?」と噂がたったほどでした。
コロナ前の日本では珍しかったSNSマーケティングですが、私はスマホひとつで自分をブランディングしていくという講座に出会い、すぐに受講。これをきっかけに私の人生が大きく開かれていきました。
自分で撮影した動画をFacebookで発信するなど、情報を世の中に出していくと、リノベーションの相談が舞い込んできたのです。営利目的で行っていたのではなかったので、最初はお断りしていましたが、私が独立するまでリノベーション工事を待ってると言ってくださる方も出てきました。
2018年10月フリーランスとして独立。
最初にリノベーションの仕事をいただき、今までの経験を活かして、まずはお客さまに「どんな人生にしたいか?」と尋ねたら、「特にないよ」と言われてしまいました。そのため、(今でも行ってもらっていますが)理想とする空間の中での要望を100個書いてもらったのです。でも、その時のお客様であるご夫婦は、20個書けませんでした。
ですが、工事を進ませ、無事、ご入居。その3ヶ月後に住まいの点検に行った時、嬉しい話を聞きました。
そのお客さまの旦那さまは、資産価値のあるマンションを購入して住み、価値が高まった時点でマンションを売却することで家賃実質0円で資産を増やしていました。
なかには売れない物件もあり、それらは賃借に出していたそうです。その経理を奥さまが担当していたのですが、実は奥さまはそれが好きではなかったのです。
そこで、旦那さまに初めてそれを伝えたら、旦那さまはリノベーションしたこの家が満足なので、これは売らずに住み続けようと言ったのでした。
工事の様子を動画で日々アップすると、仕事で現場に来られないご主人がその投稿を見て喜んでくださるだけでなく、新たな仕事の依頼もくるようになりました。
2019年2月、リノベーションコーディネーター協会を設立。
住宅設計を中心に、工務部長としての現場管理や、店舗・オフィス設計などの経験を生かして、私はこれからどんなことを手掛けたら、多くの方を幸せにすることができるのだろうか?
空間をつくるときは、人生が豊かになるような関わり方をしたい。そのためには、お客様とも、専門家たちとのより良いコミュニケーションが必要だ。
さらに、現場ができる仲間を増やせば、もっとたくさんの人を幸せにできる。建物のメンテナンスや、リノベーション工事をする際に気軽に相談ができる人が身近にいたら安心だろう。
こうしたことを考えの先に出てきたのが、「リノベーションコーディネーター」でした。
私が設計事務所や工務店を経営しても、1年間に幸せにできる人は多くて10組くらいです。しかし、リノベーションコーディネーターであれば、プロジェクトリーダーとして関わり、実際の現場はそれぞれの道の専門家たちが行ってくれます。そうすることで、幸せにできるお客様の数が増えていきます。
ですから、今後の私は、リノベーションコーディネーターに相談するという文化をつくることに全力していきます。
そして、工務店やリフォーム会社、不動産事業者の方々と連携して、建築以外のことを共に学びながら、高騰する建築費の中でも適正価格で対応できる建築家コミュニティを構築することで、ともに成長しながらサポートをいたします。